屋根の上と下

夫婦と犬のための家である。

傾斜地を分譲した敷地の一つで、道路と2m幅の通路でつながった旗竿敷地だ。旗竿敷地の場合、建蔽率が低く設定されていても、竿の部分で空地を確保し、旗の部分は敷地いっぱいに建設できることが多い。夫婦からの要望は敷地いっぱいに、なるべく平屋で建てることだったが、敷地東側には擁壁が立ち上がり、新築の隣地建物も敷地いっぱいに建つことが分かっていたため、家の大部分を占める1階はそれらに囲まれた暗い空間になることが想像できた。

そこで、この敷地条件の中で光や風、緑などの自然を採り入る方法を検討した。

まず敷地いっぱいに架けた大きな陸屋根の中央に中庭を設けた。建物外周は、擁壁や隣家の屋根より高い位置にハイサイドライトを設け、北側の擁壁の上に垣間見える庭や空への抜けをつくり、開放感を確保した。次に、中庭の周りに生活のメインとなるスペースを配置し、部屋を介して回遊できるようにした。あまり使い方を固定せず、使い勝手に応じて建具でスペースを区切ることができる。

屋根の上は、芝生で全面緑化し、愛犬のためのドッグランとして、また眼下に広がる手賀沼への眺望や夏の花火大会を楽しむ場とした。この屋根の独立性を高めるために寝室である2階のボリュームは切妻屋根とし、1階とは完全に別ものとして扱った。構造的にも柱を1本共有するのみで、大屋根の梁で荷重を伝達することで架構を成立させている。

斜面の下から見上げると建物の全貌は見えないが、高く浮かんだ板のような屋根、屋根の上にポツンと立つ小屋、そして屋根の下のガラスと白い壁によるキューブの特異なコンポジションが現れている。

所在地 千葉県我孫子市
構造設計 オーノJAPAN
照明デザイン 灯デザイン
敷地面積 260.84 m2
建築面積 123.49 m2
延床面積 142.83 m2
竣工年 2019
撮影 新建築社写真部

雑誌掲載
住宅特集 2019年11月号


Above and below a roof

Location Chiba, JAPAN
Structural Engineer Ohno JAPAN
Lighting Designer Toh Design
Site Area 260.84 m2
Building Area 123.49 m2
Floor Area 142.83 m2
Completion Year 2019
Photographs Shinkenchiku-Sha